パンパン粉！ボテ箱！…殺人！？
おはようございます！こんにちは！
翼和希でございます
今日はブギウギに登場した「パンパン粉」のような専門用語？や
劇団員内独自の文化について綴ってみたいと思います。
ブギウギで歌劇の世界にご興味を持っていただいた方にも
ずっとファンでいてくださっている皆さまにも クスッと笑ってお楽しみいただけたら嬉しいです。
専門用語というか、変わった呼び名が付いているアイテムはたくさんありまして
「パンパン粉」は、一般的なお化粧でもベースメイクの仕上げに
はたくフェイスパウダーと同じものですが 研修生時代からこの名称で教わりました。
ベースメイク(私たちは地色と呼びます)を安定させるためにパンパンします。
他にインパクトが強い名前は「殺人櫛」。
某仕事人が武器にしそうな尖った柄のついた櫛のことで
髪型に思い通りの分け目を作るのに欠かせません。
櫛シリーズで「おばん櫛」というのもあります。
昔ご年配の女性が髪に差していた櫛のような形状で、大小様々なサイズがあり、
激しく踊っても飛ばないように鬘や頭飾りの裏に縫い付けます。
たくさん付ければいいという物でもなくて、上級生の娘役さんほど
力学的に効果的な位置に最小限付ける術に長けています。
お化粧の粉とか櫛のような、使う種類が多いものほど変わった名前がついているので
楽屋準備や開演前など、てんてこ舞いな中で 「粉いうてもどの粉なん！？」
「どの櫛ですか！？」とならないように 必要なものを的確にすばやく伝え合うべく
定着していった呼称なんだと思います。
かなり上級生のOGの方に伺っても通じるので、長年使われてきた言葉なのかなと。
(それにしても、もうちょっと歌劇的な呼び名はなかったのでしょうか…
先輩方のユーモアを感じます笑)
他にもドラマの中で橘さんが「桜庭！ボテ箱なおしとけ言うたやろ！」とおっしゃってましたが
あれは「ボテ籠」のことで スズ子たちが楽屋準備を命じられた時に
大和さんの羽根をしまっていた蓋付きの大きな四角い籠です。
現在は布製やプラスチック製のものを多く使用していますが、
名称は残っていて 今でも「ボテ」と呼んでいます。
下級生が上級生に話しかける際に 「今お話しさせていただいてよろしいでしょうか」と言うのも
現存の決まり文句です。 上級生が何もしていない時でも、台本や楽譜等は もちろん、
お稽古に関係のない物も何か手に持っておられたら、このセリフを言うことすらできなかったので
下級生の頃某グルメ雑誌をわりと肌身離さず持っている上級生の方がおられて、
そのグルメ雑誌が嫌いになった時期がありました笑
また、少し独自の文化かな？と感じるのは、漢字の使い方です。
たぶん私たちの劇団の成り立ちに由来していて 「千秋楽」は「千穐楽」と書きますし
「衣装」は「衣裳」と表記します。
一般的には「千秋楽」「衣装」のほうがよく使われている漢字だと思いますが、
我々はこの様に書くべしと教わりました。
変わった風習としては 上級生の方にお化粧やお稽古を見ていただいたり、
お世話になった際にお礼のお手紙をお渡しするのですが
必ず時候の挨拶から書き始める決まりになっていて
将来劇団外の方に改まったお礼状等を差し上げるとき困らないための練習だと教わりました。
毎日のように稽古場や舞台で顔を合わせているのに
その都度「朝晩はめっきり寒くなってまいりました
〜さんにおかれましてはますますご健勝のことと存じます」とか書くわけですから
この手紙を貰う事が増えた今、やっぱり少し面白いなと可笑しくなったりしますが
空や風やいつもの道の草花等、季節の変化を敏感に意識する癖がついたのは
この習わしのおかげで、心豊かに過ごせているなと思います笑
